三浦綾子の塩狩峠

【塩狩峠】信仰心・信じる力について考えることができる小説

塩狩峠/三浦綾子

明治期に北海道で起こった、鉄道事故に係る実話を描いたストーリー。

私は初めての作家さんの小説を読む前に、そのプロフィールに目を通す。どんな人が描いた小説なのかを頭に入れておきたいからだ。三浦綾子はキリスト教を信仰する作家だという事が、この小説を読む上で重要な事だった。

本作では、幼い頃に厳格な仏教の教えを守っていた主人公が、大人になりキリスト教へ改宗していく。その過程で、当時は敬遠されていたキリスト教に対し、主人公が葛藤するシーンがたくさん描かれている。

信仰心

この小説を読み進めていくと、自分と対話を続けている感じがした。「信仰心」について深く考えることができる。それは、キリスト教や仏教、イスラム教などに限った考えではなく広い意味での信仰心。

私は昔から、神仏については信じていない。それが良いことだと思っていた。宗教とは、一部の権力者が平民の心を統治するために利用してきた物だと結論付けていたから。長い世界の宗教の歴史を見ても、それは明らかだった。その宗教を深く信仰する人たちを、少しだけ軽蔑もしていた。

しかし、私は25歳になった頃から考えが変わってきた。私自身が大人になり色々な人と出会う中で、宗教を深く信仰している方というのは非常に強い人種だったからだ。自分自身に対して強い、自制心が強いというんだろうか。芯が強い人間という印象。その人たちの社会的なステータス抜きに、自然と尊敬できる。

私が持つことのできない「信仰心」に対して憧れも出てきた。

なぜ、心が強くなるのか

何かしらの宗教を信仰している人たちは心が強い傾向にある。

この事について深く考えたことはなかった。しかし、この小説を読み進めていくうちに自分なりの答えが出た。それは、宗教を通じて「信じるトレーニング」をしているからだ。それは心のトレーニング。

身体を鍛えることは「筋トレ」であり、イメージはそれに似てる。身体に負荷を掛けていれば、筋肉が付き体が強くなる。それを心に置き換えると、心に負荷を掛けることが必要だ。

宗教における心の負荷は、その成り立ち自体だ。本作ではキリスト教がテーマになっているので、イエス・キリストの生い立ちから、私たちの心にかけられる負荷をピックアップ。

ヨセフの婚約者であったマリアは、結婚前に聖霊により身ごもった。天使の御告げによりヨセフはマリアを妻に迎え男の子が生まれ、その子をイエスと名付けた。

wikipadiaより

聖霊とか天使が出てくるが、それより何よりマリアは処女だ。そのマリアが子供を宿した…

マリア様、絶対に嘘ついてるじゃん…って思ってしまう。自分の常識では考えられないことだから、それを信じろと言われれば心に大きな負荷がかかる。現代の技術をすれば処女のまま子供を宿すことは可能だろう。人工授精などがあるから。しかし、そのひねくれた考えは吹き飛ばそう。

とにかく、キリスト教の一番根底のとこで私は挫折していた。信じる力が足りなかったから。心の筋肉不足。私がメンタルの弱い人間なのも納得。

対して、キリスト教の方の多くは幼い頃からその話を信じている。洗脳というと言葉は悪いが、それは導きだ。導きは心にとって負荷になろう。その導きを毎日、信じることで心の筋肉が育っていく。信じる力が育ち、心の強い人間に育っていく。

信じる力が強い人、弱い人

信仰心を通じて鍛える「信じる力」、これが強い人と弱い人の違いを挙げてみる。

信じる力が弱い人

  • すぐに諦める
  • 色んな事に手を出す
  • 欲はあるが愛は無い
  • 自身の世界が狭い

信じる力が強い人

  • 諦めない
  • 一つのことに熱中する
  • 愛があり、欲は無い
  • 自身の世界が広い

私は、信じる力が強い人に憧れる。同時に、息子たちには強くあってほしい。夢を追いかける力にも直結してくるから。

息子たちには信じる力を

私私自身も信じる力を鍛えるつもりだし、息子たちには夢を叶えることを強く信じてほしい。成長するにつれて、夢が変わるのは構わない。しかし、その瞬間ごとには夢は叶うんだって一生懸命でいてほしい。

竜の現在の夢は「ドッジボール選手」「建築士」だ。鉄平は、よく分かっていないがサンタさんを信じている。

2人とも、夢やサンタを純粋に信じて、それぞれの世界を広げていってほしい。子供たちの世界は無限に広がる。

塩狩峠を読み終えて

小説のストーリーより、信仰心や信じる力について深く考えた。そこから自分との対話、息子たちに合ってほしい姿が浮かんでくる結果となる。昔、ヘミングウェイの「老人と海」を読んだ時と似ている。その時は人間の欲について深く考えた。

「塩狩峠」も、小説自体のストーリーより、それを通じて自分と対話するタイプの本だと思う。私にとっては良い小説だった。

以上。



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